青春りっしんべん (其の壱) 「 。今、帰りか? 一緒に……帰らないか?」 「うん。いいよ。一緒に帰ろ」 は、まだ日の高い空へ、うんと手を上げて伸びをした。 それから、ぴょんと跳ねて、俺の方を向く。 「珪くんはいいよね、テスト」 「……おまえは頑張ってるんだ。すごいと思う。俺」 頑張ってる、 を見るのは好きだ。……なんかいい。 「う〜ん。そうかな?」 「そうだ」 「じゃあ、ご褒美ちょうだい」 「……ん?」 「っていうか、今日、家に遊びに来てくれたら嬉しいな〜、なんて」 首をかしげて、見上げられる。そういったところは、かまって欲しがる仔猫に良く似ていると思う。……いいな、そういうところも。 「……かまわない」 「ホント? 今日、おとーさんもおかーさんもイトコの結婚式でいないの。尽は今日から修学旅行でいないし。夜とか、一人でどうしよーって思ってたんだよ〜。」 ―― んあ!? 「……今、なんて?」 「うん? “一人でどうしよー”?」 「……違う。その前に言ったの。……いや、いい」 なに考えてるんだ? 優花って? 「来てくれるんだよね?」 「……ああ」 あまりにも、 が嬉しそうな顔してたから、思わず頷いてしまった。 ……まあ、聞き間違いかもしれないし。べつに泊まるとか、そういうのじゃないみたいだし。 「じゃあ、歯ブラシとか、忘れないでね!」 「………………」 分岐/歯ブラシって、どういうことだ……? 分岐/……どういう意味だ? |