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  お日様布団


 
 は、明日の弁当のおかずを見繕いにスーパーで買い物をしていた。
 そこで珍しい人物を見かけた。

「珪くん!? あれ? ネコ缶買いに来たの?」

「……違う。ハウスキーパーが、熱出して、しばらく休んでる」

 それで珪が持っているのは、牛乳とコーンフレークだけ。

「け、珪くん?今までなに食べてたの?」

「バイトの日は、アルカードで、他はコーンフレーク」

 はあっけにとられた。

「……お料理は?」

「中学の調理実習でした以来……だと思う」

「今日のご飯は?」

「……これ?」

 指差したのはコーンフレークだった。
 珪でも苦手なことがあるのが少しおかしくて、は笑った。

「……笑うなよ」

「あはは。ごめん。よかったら、家でご飯食べない?今日だけでも。明日からは、バイトの日以外は作りに言ってあげるから。ね?」

「……おまえ、無理してないか?」

「だーいじょうぶ! それに今日は私も一人でご飯食べなきゃいけなかったし、ね?おいでよ」


 それで珪はコーンフレークと牛乳だけ買って、は弁当の用意以外にもなにやら買っていた。


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「きっとあんまりお野菜とか食べてないと思ったし、体にいい和食にしてみたよ? 珪くん、好き嫌いないでしょ?」

 出来上がった料理は、雑穀ご飯・魚の煮付け・豆腐の味噌汁・野菜の煮物・大根のサラダだった。
 
「今日、お母さんたち残業だし、わたしが料理の当番なんだ。尽は塾から帰ってきたから食べるし」

 は一人で食べるよりも二人で食べた方がおいしいよ、と付け加えた。

「さ。食べて食べて」

 久々の和食に、珪は少し嬉しく、箸をつけた。

「どう?」

「……ああ。旨いよ」

 それは本当に、どれをとってもおいしかった。

「じゃぁ、明日から連休だし、わたし、珪くんのお家行くからね?」

 にこりと笑うと、おいしいご飯に珪はなにも言わずに、うなずいた。







 * モドル * 2 *