俺は何時ものように教室で寝ていた。
 最初は本当に寝てた……けど、途中からは寝たフリ。

 そんな時、聞こえてきたんだ……。

「そういやぁ、最近ってカワイクねぇか?」
「お〜、分かるそれ! 何かアイツ変わったよな?」
「だろ?? 最初は、まぁまぁって感じだったのに、急だよな?」
「おぉ。 どうしたんだ? アイツ……」

 ……そんな会話だった。

 もちろん俺は、目を瞑ったままだし、誰がの話をしていたのかも判らない。
 二人で会話をしていた事ぐらいは解った。

 けど……。

 コイツらの言う通り、最近のは可愛くなったと思う。
 俺は……初めから可愛いと思ってた。
 でも、更に可愛くなったと思うのは…………。

 これもアイツのせい……なのか?


***


ちゃん!! 昼まだやろ?? 一緒に食べへん?」

 を誘いに来たのは……姫条とかいう奴だ。
 前にが、その名前を口にした事があった……。

 名前なんて覚える気は無い……。 けど嫌でも頭に入ってくる名前……。

「うん、いいよぉ〜!」

 笑顔で教室から出て行く

 アイツが誘いに来る時、は一度も断った事がない。
 好き……なんだろう。 いつも食事の後に、アイツの話を聞かされるんだ。

 そして、今日もそうだった…………。


「葉月くんこの前、雑誌に載ったでしょ??」

 机に肘をかけながら座っている俺の顔を、覗き込みながら話す

「……あぁ、そうらしい」

「姫条くんね、スゴク情報が早いんだよ!!
 私に、葉月くんが出てるって直に教えてくれるの。 さっきもそうだったんだ!」

 アイツの話をする時のは、いつもキラキラと目が輝いている。
 そんなにアイツと話すのが嬉しいのなら、俺となんか話さなければいい……。

「あっ……ごめんね。 葉月くん雑誌とかの話されるの好きじゃなかったよね……」

 俺の顔、相当不機嫌だったんだな……。 がそれを察して謝ってきた。

「いや……別にいい」

 ……雑誌の話なんてどうでも良かった。 只単に、アイツの話をして欲しくなかっただけだ。
 俺と居るとき位、アイツの話は……。

 今日の俺は、いつもと違ってた。
 昼前にあんな話を聞いたからなのか? …………それとも。

「姫条くんファッションの事とか、流行りものの事とかスゴク詳しくて、
 いつも教えてもらってるの」

「そうか……」

「だから最近、私も一生懸命勉強してるんだぁ〜」

 ……やっぱりそうなのか。 の顔見てれば判る。
 アイツのおかげなんだな……。

 はアイツが好きだから…………だから。

「早く近づきたいんだ……早くつり合えるようになりたいの」

 俺が考え込んでたら、はそう言った。

 ……そうだろうな。 好きなら尚更だ。
 けど、そんな気持ちなくても、は充分だと思う……。

「そうか……」

「そうか……って、さっきから葉月くん、そればっかり!!
 しかも、他人ごとみたいに!!」

何怒ってるんだ??)

 が嬉しそうに話す顔を見たくなくて、俺はずっと顔逸らしてた。
 そしたら、急に……怒ってるんだ。

 俺には理解出来なかった。

「……いや。 人事だろ?」

 はアイツの事が好きで、アイツの為に綺麗になりたいと思ってるんだろ?
 人事……じゃないのか?

 俺…………協力してやれるほど、お人よしじゃない。

「人事な訳ないじゃない!! 私は、葉!?」

 は何かを言いかけて、慌てたように両手で口を覆った。

「は?」

「何でもない! 今の話はナシ!!」

 そう言っては教室から出ていった。
 ……何が言いたかったのか判らない。 その疑問が、自然と口から漏れていた。

「は……って何だ?」

「お前は、ホンマに何も判っとらん奴っちゃなぁ〜」

 声の主は姫条だった。 気付くと俺の横に立ってたんだ。
 ……いつからいた??

ちゃんの言葉、ホンマに判らんのか?」

 さっきから何だコイツ。 といい、コイツといい。
 お前らの仲を見せ付けたいって事なのか?

 俺は無言で姫条を睨んだ。
 そんな俺を気にする事なく、さらりと答える姫条。

「まぁ、えぇし。 判らんならそんでえぇ。 只、後で後悔しても知らんで?
 この先、俺の隣にちゃんがおっても、文句言うなや」

 意味有り気な言葉を残して去っていった……。

 どういう事なのか、未だに判らない俺がいた。
 ……只、判らない中でも一つだけ答えがあったんだ。


 アイツには負けたくない………いや、負けられない。 は渡さない!!!


 これが俺の出した答え。
 この先、何が有ってもこの答えは消さない。

 この時、そう心に決めたんだ。


 決めたはずなのに…………。

 誓ったはずなのに…………。




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<あとがき>
続くのか?? みたいな感じで終わってます。 が、実際続きます(爆)
なんとなく、珪くんVSまどか に、したかったのでぇ〜。 マズイっすか?
しかもこの段階では、ちっともVSになってないし……あは、あははは(///滝汗)

ってなわけで(どんな訳だ?)設定は、はば学1年生! に、して下さい。

1年なのに、もう既に珪くんは名前で呼び捨て。 (猫のイベント済みです///笑)
まどかは、3段階から4段階にかけて……って事で。 (でも未だチャン付けです///笑)

微妙な設定ですが、アレに、コレにと、ちゃんと続きを書きたいなぁ〜〜〜(希望)

 松子>続き書いてくれ〜〜〜(切望)