+Pleasure+

 書いた人/竹子

 俺がまだ、と知り合うたばかりの頃、

 「チャーハン作り過ぎてしもて……」なんてぬかしながら、昼メシ一緒に食べてん。
 それ以来、一緒にメシ食うのが日課になってな……。


 ***


「ま〜ど〜か。 お昼一緒に食べよー!」

 いつもなら俺が教室まで迎えに行くんやけど、今日は、の方から迎えに来よった。
 そないな姿見てしもたら、彼氏とかっちゅう考えはおいといて、
 一人の男として、が可愛く見えてしゃぁないねん。

(こら、堪らんなぁ〜!)

 もちろん表情は出さへんように(考えとる事も、声もやで)冷静な態度で、俺はに答えなあかん。

「オウ! もちろんやて。 今日はどないする? 学食でメシ食うか?」

「ううん。 今日はね、前にまどかから貰った『姫条まどか特製チャーハン』のお礼がしたくて……」

 なんや? 何モジモジしとんねん。

? どないしたん?」

 俺が聞くと、テレくさそうに何んやら箱を差し出しよった。
 この箱は……。 間違いないやろ? アレやろ?

「まどかみたいに上手くないけど、お弁当持って来たんだ。 一緒に食べよ!!」

 やっぱ弁当や〜〜〜!

「お〜〜〜。 楽しみやなぁ。 俺、の手作り弁当食うのメチャ嬉しいねん!
 なんやったら、毎日でもええで!!!」

「もぅ、まどかったら! 調子いいんだから」

 ぷくーっと、脹れた顔見せて来よったけど、次の瞬間にはもうニコニコしとんねん。
 ……顔赤しながらカワエエやん。

(何でこんなに可愛いんやろか? もう、堪らんわ!)


 ***


 俺たちは、今日の出来事をしゃべりながら中庭に移動した。
 オモロかった事も、くだらん事も。

 中庭に着いてから「じゃ〜ん!」 と、嬉しそうには弁当を広げていきよった。

「どれどれ。 麻婆ナスに、玉子焼きに、ウィンナーに……ってスゴイやないか!!
 こんなぎょ〜さん。 エライ頑張ったなぁー」

「エヘヘ。 まどかに喜んでもらいたくてネ!」

 くーーー。 ……涙出よるで。

 俺はホンマに感動しとった!
 自慢の女ちゅうのは、の事を指すんやろな。
 ……惚れた男のために、一生懸命になる事!

(喜んでもらいたくて)……やて。 最高やな!!!

「ねぇ、ねぇ食べて! 今回も私なりに頑張ったから」

 俺がなかなか食わんかったさかいに、不安そうな顔しとった。
 早よ食べて欲しい! っちゅうのも有るやろうけど、えぇ返事が聞きたいんやろな。

の弁当は、何食うても旨いで! 俺が保障したるさかいに。
 さてさて、愛情弁当食いますか」

「もう。」

 俺の言うた言葉に対して喜んだみたいやな!
 言葉とは裏腹に、顔がほころんどるわ。

 早速俺は弁当に手を伸ばし、オカズに手を付け、
 よ〜く噛み締めながら飲み込んだ。

「…………」

「まどか……。 どう? 美味しい??」

 何んも返事せんかった俺の顔を、覗き込んで答えを待つ。

「う……っ」

 俺はのどに手を当てた。

「ま・まどか? 大丈夫??」

 心配して近づいて来たに俺は…………。

「う……っ、うまい!!!」

 ついついイジメてもうた。

「ビックリさせないでよ〜! 詰まったのかと思って心配したじゃない!!」

 話ながら、俺の胸をポコポコと叩く。
 そんなの姿が、これまた可愛く見えてな……。

「すまん、すまん。 ホンマに旨かったで!
 しっかし、の弁当は、何食うてもウマイなぁ〜」

「本当? 良かったぁ〜。 お弁当美味しいって言ってくれたから、
 さっきの意地悪は許しちゃう!!」

 くるくると表情を変えながら話すを見ると、
 愛しくてしゃぁないんや……。

(俺が惚れた弱みなんやろなぁ……)

「さすが、寛大やな! は、最高の女やで!!」

「そういう事を言わないの!」

 ふいっと、横をみるの顔が、少し赤なっとる事に気付いた。
 俺はすかざずしゃべり続けた。
 普段は言わんような言葉を…………。

「ホンマやで! は俺の自慢の女やさかい」

 一呼吸置いてから、こう呟いた。 に聞こえるか聞こえないかの声でな……。

「……愛してんで」

「ん? まどか、今なんて言ったの?」

「な! 何も言うてないで。 ほら、早よメシ食わんと昼休み終わってまうで!」

 俺はあえて話をそらした。 二度と言えるかいな……あないな言葉。

「ホントだ! さぁ、食べちゃおう」

「せやな」

 いつか俺も、面と向かって言える日が来るんやろか……?
 まぁ、今は、この時間さえ良ければえぇのかもしれへんなぁ……。
□ アトガキ □

 一応『+My Favorite+』の、お弁当つながりで書きました。
 と言っても、お弁当だけで話や設定とかは繋がって無いんですよね……。
 まどかって、真面目な事をなかなか言わないタイプですよね??
 だから、普段言わないような言葉を言わせたかったのです!
 次回はもっと言わせようかと考えているのですが……、予定は未定です煤i ̄▽ ̄;)ゝ