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  さよなら、ありがとう




 教会のドアが開いていて、今、私はずっと、ずっと好きだったこの人から愛の言葉をもらってる。
 それなのに心が晴れない。
 ドキドキしてるけど、何か違うの。
 
 ちらちらと見えるのは、あの人の顔。
 
 どうして?

 あの人は大切なトモダチ。

 大切な、ずっと、この人の相談にのってもらって、勇気をもらったり、励ましてもらったり、頼っちゃったり……。

 この人に振り向いてもらうこと、相談してた。

 なのに、今、どうしてだろう?
 違うってどこかで思ってる。

 でも、この人からの告白は嬉しいの。

 ようやく叶った……あの人に相談して……。

 わたしは……。

 わたし……。

「……ごめんなさい」

 この人にようやく言えた言葉は、これが精一杯だった。
 
 でも、ずっと好きだったの。


 でも、思いは叶ったのに、叶ってなかった。

 ごめんなさい。

 私は気付いてなかった。

 こんなにもあの人で心が満たされてた。

 なのに、今になって気付いて……。

 あの人の心を求めてる。

 せっかく友達になれたのに、私は関係を崩しに行く。

 もしかしたら、もう戻れないかもしれない。

 でも、でも、今日を逃しちゃったら、ずっとトモダチかもしれない。

 私が望んだことなのに。

 もしもあの人がそれを望んでなかったら?

 あの人は、私のこと、大切な友達って思ってるかもしれない。

 ふと、告白してくれた彼の顔が浮かんだ。

 ありがとう、気付かせてくれて。

 あなたを好きだった日々は、決して忘れないよ?

 ドキドキもしたし、恥ずかしかったり、いろんなときめきがあったけど……。

 私の心の中で一番は、あなたじゃなかった。


 あの人がいる海岸に来た時はもう、空が夕焼けに染まっていた。
 
 驚いた顔で、わたしを見てる。

 その次に心配そうな顔。

 あなたにもお別れを言いに来たって言ったら、どんな顔するかな?

 あなたとの、トモダチの関係、壊しにきたよ。

 勇気を持って言わなくっちゃ。

 今までありがとうって。

 あなたのことが好きだって……。





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* モドル *