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   午後のまどろみ





 ……珪くん、お昼休みからずっと授業も出席してなくて、氷室先生はちょっぴり不機嫌だったなぁ。
 どこに行ったか、大体の見当はつくけど。
 ネコ一家のところ。きっとそこにいて、猫たちと遊んでるんだろうなぁ。


   *
 

 案の定、珪くんはそこにいて、仔ネコたちと寝てた。
 ……、ホント、どこでも寝ちゃうなぁ珪くんって。
 いくら春の日差しは気持ち良いかもしれないけど、風邪引いちゃうよ。
 起きるまで待ってようかな? でもチャイムがなる前に行かなきゃ。
 珪くんも起こしてあげようかな?
 そっと珪くんを覗くと、すぅすぅ寝息をたててる。とっても気持ちよさそう。ちょっと起こすのかわいそうかな?
 でも……。ふふっ。珪くんも仔ネコみたい。金色の毛並みの仔ネコ。
 わたしは、その仔ネコの髪をそっと撫でる。
 さらりとした髪から、ふんわりシトラスの香り。寝てても整った顔。長いまつげ。
 今まで珪くんのこと、カッコイイと思ったことはあるけど、可愛いなんて思ったことなかった……。
 今は、すごく可愛い。
 今日の陽射し、気持ちいいもんね。
 珪くん、モデルのお仕事で遅くまで撮影してるし、疲れて寝ちゃうのもなんだかうなずける。
 
 突然、珪くんの手が私の手をとった。

「……えっ!?」 
 
 そのまま引っ張られて、わたしは珪くんの胸に倒れて……。
 ぎゅっと抱きしめられるみたいに、すっぽりわたしは珪くんの腕の中……。
 顔が熱いよ。ドキドキする。きっと伝わっちゃう。
 ……寝ぼけてるのかな?
 そっと顔を上げると、珪くんのドアップで、またわたしはびっくりした。
 あんなきれいな顔、反則だよ。

 大きな手が、わたしの頭を撫でた。
 
「……、いいよ、撫でても。二人のときなら」
 
 優しい珪くんの声。
 それにまたドキドキして

「……うん……」
 
 って言うのが精一杯で、 「わたしもいいよ……」 なんていうの忘れちゃった。
 陽射しがやさしくて、珪くんが温かくて、ずっとこのままなら良いのに。なんて思った。



  **
 
 

「……、よく寝てたな」

 体を伝って聞こえた声にわたしは、飛び起きたりした。

「え?え?えぇー?」

 ミイラ取りがミイラになっちゃったよー。
 って言うか、恥ずかしすぎる!

「……よだれ出てるぞ」

「嘘?」

「……冗談。でも気持ちよさそうだった」

遠くでチャイムが鳴る音が聞こえた。

「あ! 授業……」

「ああ。終わったな……」

 がーん。
 わたし、授業サボっちゃった。
 こっわーい現国の先生になんて言われるか……。
 というか、ずっと珪くんの胸の上で寝てたの???

「気にするな……」

「……でも」

 もう授業のことなんて気にしてないよ。
 ……重たくなかったかな? ッてことの方が気になっちゃう。

「なんだか、今日は得した気分だし……」

 …………え?

「……仔ネコが傍で寝てたから、な」

 まぁ、確かに囲まれるかのように寝てたけどね。珪くんは。
 
「お前も仔ネコみたいだった」

 くすりと珪くんはわらう。

「……もうすこし、一緒にいろよ……」

 またドキドキした。
 どうしてこんなに珪くんは、わたしをドキドキさせるんだろう?

「ねぇ、珪くん? ドキドキする時ってある−−?」






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 上手くオチてなし!!
 評価はBだ。
 以上!!

 あああ。女の子の気持ちって難しー!!




* モドル *