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午後のまどろみ
……珪くん、お昼休みからずっと授業も出席してなくて、氷室先生はちょっぴり不機嫌だったなぁ。
どこに行ったか、大体の見当はつくけど。
ネコ一家のところ。きっとそこにいて、猫たちと遊んでるんだろうなぁ。
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案の定、珪くんはそこにいて、仔ネコたちと寝てた。
……、ホント、どこでも寝ちゃうなぁ珪くんって。
いくら春の日差しは気持ち良いかもしれないけど、風邪引いちゃうよ。
起きるまで待ってようかな? でもチャイムがなる前に行かなきゃ。
珪くんも起こしてあげようかな?
そっと珪くんを覗くと、すぅすぅ寝息をたててる。とっても気持ちよさそう。ちょっと起こすのかわいそうかな?
でも……。ふふっ。珪くんも仔ネコみたい。金色の毛並みの仔ネコ。
わたしは、その仔ネコの髪をそっと撫でる。
さらりとした髪から、ふんわりシトラスの香り。寝てても整った顔。長いまつげ。
今まで珪くんのこと、カッコイイと思ったことはあるけど、可愛いなんて思ったことなかった……。
今は、すごく可愛い。
今日の陽射し、気持ちいいもんね。
珪くん、モデルのお仕事で遅くまで撮影してるし、疲れて寝ちゃうのもなんだかうなずける。
突然、珪くんの手が私の手をとった。
「……えっ!?」
そのまま引っ張られて、わたしは珪くんの胸に倒れて……。
ぎゅっと抱きしめられるみたいに、すっぽりわたしは珪くんの腕の中……。
顔が熱いよ。ドキドキする。きっと伝わっちゃう。
……寝ぼけてるのかな?
そっと顔を上げると、珪くんのドアップで、またわたしはびっくりした。
あんなきれいな顔、反則だよ。
大きな手が、わたしの頭を撫でた。
「……、いいよ、撫でても。二人のときなら」
優しい珪くんの声。
それにまたドキドキして
「……うん……」
って言うのが精一杯で、 「わたしもいいよ……」 なんていうの忘れちゃった。
陽射しがやさしくて、珪くんが温かくて、ずっとこのままなら良いのに。なんて思った。
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「……、よく寝てたな」
体を伝って聞こえた声にわたしは、飛び起きたりした。
「え?え?えぇー?」
ミイラ取りがミイラになっちゃったよー。
って言うか、恥ずかしすぎる!
「……よだれ出てるぞ」
「嘘?」
「……冗談。でも気持ちよさそうだった」
遠くでチャイムが鳴る音が聞こえた。
「あ! 授業……」
「ああ。終わったな……」
がーん。
わたし、授業サボっちゃった。
こっわーい現国の先生になんて言われるか……。
というか、ずっと珪くんの胸の上で寝てたの???
「気にするな……」
「……でも」
もう授業のことなんて気にしてないよ。
……重たくなかったかな? ッてことの方が気になっちゃう。
「なんだか、今日は得した気分だし……」
…………え?
「……仔ネコが傍で寝てたから、な」
まぁ、確かに囲まれるかのように寝てたけどね。珪くんは。
「お前も仔ネコみたいだった」
くすりと珪くんはわらう。
「……もうすこし、一緒にいろよ……」
またドキドキした。
どうしてこんなに珪くんは、わたしをドキドキさせるんだろう?
「ねぇ、珪くん? ドキドキする時ってある−−?」
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上手くオチてなし!!
評価はBだ。
以上!!
あああ。女の子の気持ちって難しー!!