本命 : まどか
恋の厄介モノ
act.3 : 独占欲
どんな男にも、アイツには近づけさせたきあらへん。
妬いてる?
「男の嫉妬は女々しい」と、あの女は以前オレに言いよった。
そん時はオレもその意見に賛成やった。
男がそんなことで動揺しとったらあかん。男はいつでもドーンと構えとらなあかん。
……そう思っとった。
せやけど、アイツの口から、あの男の名前を聞くだけで、心の奥から嫌な気分が湧いてでよった。
それが嫉妬だと気付くのには、なんも時間もかからやんだ。
アイツの目の前では、そ知らぬ顔してるけど、チャラけて、
「他の男に取られたないしな」
そう言うのでせいっぱいやった。
あの笑顔も、どんな表情も、声も、仕草も、どんな男にも見てほしない。
アイツはオレだけのもんやと、大きな声で叫びたなって来る。
あの男は親友やと、アイツはオレに言いよった。
んなわけあらへん。
あの男の、アイツを見る目は、友達やらを見るもんやあらへん。
アイツをいつでも傍らに置いときたい。
それは、今は叶わぬことかもしれへん。
それでもオレは……。
嫉妬かも知れへん。
けど、なんや、ちょっと違う。
アイツを独り占めしたいんや。
一分一秒でもあの瞳に、どの男よりも俺だけを映してほしい。